SEARCH
扶養の範囲ってどこまでですか?
私がよく受ける質問の一つに
「私は(配偶者の)扶養に入れますか?」というものがあります。
この質問に答えるには、大事な前提が一つあります。
それは「扶養は2種類ある」ということです。
この記事では、配偶者間での扶養(「妻が夫の扶養に入れるか」を妻の立場から)という前提で、2種類の扶養について解説します。
1 税金上の扶養
税金上の扶養に入れているかは、年が終わってからはじめて正確にできます。
ある年、(X年分)の申告について、
税金上の扶養の判定は、
X年の出来事(所得)が確定してはじめて正確に行えます。
所得(利益から青色申告の控除額(10万 or 55万 or 65万)を引いた後の金額)
によって、次の3パターンになります。
(2020年以降の場合)
① 所得が48万円以下の場合:
税金上の扶養になる
② 所得が48万円~133万円まで:
扶養ではないけど特典※があり(所得が上がると特典の金額が減る)
③ 所得133万円超:
特典なし
扶養に入るとどうなるの??
税金上の扶養に入ると、配偶者(夫)の税金が安くなります。
上記①の場合
具体的には、
38万円×所得税の税率(所得税) + 33万円×10%(住民税) です。
仮に所得税の税率を20%とすると、
38万円×20% + 33万円×10% = 10万9千円
上記②の場合
・所得48万~95万まで 上記①の場合と同じ
・所得95万~133万まで
段階に応じて、上記①の38万、33万が徐々に下がる
イメージとしては(夫の税率20%として)夫の税金が次の金額だけ安くなります。
①だと10万9千円
②だと、自分の所得が上がると10万9千円が徐々に下がる
③になると、ゼロになる
ちなみに、給与をもらっているだけの場合は、次の金額です。
① 給与が103万円以下の場合:
税金上の扶養になる
② 給与が103万円~201万円まで:
扶養ではないけど特典があり(所得が上がると特典の金額が減る)
③ 給与201万円超で特典なし
税金に関する扶養での共通ポイント
① 自分の所得が増えることで、自分の手取りが減るということはありません。
② 次の関係が成り立ちます
自分の手取額の増加 > 配偶者の税金の増加
もっとハッキリ書くと、自分の所得が増えても夫婦合計の手取りが減ることはありません。
だったら、扶養の範囲とか気にしなくても良いのでは?と思いますよね。
問題は、次の部分です。
2 社会保険上の扶養
問題が大きいのはこちらです
社会保険では、原則として未来の予定で扶養の判定を行います。
ちなみに、もし夫が国民健康保険でしたら、
そもそも扶養という概念がなく、
世帯全体の合計で保険料を計算されます。
ここから先は、妻が夫の勤務先での社会保険に加入している(夫の会社から健康保険証を発行されている)という前提で話を進めます。
一般的によくあるケースは、
子どもや妻が正社員に就職したことにより、
夫の扶養を外れる、というケースです。
ところが、妻がフリーランス等の場合、
収入に波があるので、未来の予定で判定ができません。
そこで、一般的には、
確定申告など、客観的に分かる数字がでた時点で
扶養から外れたり扶養に入ったりします。
その際の判定基準は、
年収130万(大企業は106万)です。
では、年収とはなんでしょう?
実は年収には明確な定義がありません。
給与の場合は、単純に給与の額面(税金などを引く前)で良いのですが、
事業の場合はここが明確になりません。
給与とのバランスをとるなら、利益で判定すべきなのですが、
確定申告での利益と同じ金額で
判定してもらえないケースも多々あります。
年収の判定方法は健康保険組合によって異なります。
ひどいところは、売上が発生している時点でダメ、というのもあります。
他には、経費の内容を確認して、
あれはダメ、コレはダメ、と税務調査以上に
一方的で勝手な基準で物を言う組合もあります。
では、現実的な対応はどうしたら良いでしょうか?
実際のところは、税金上の扶養の範囲を超えたら、
会社(健康保険組合)に相談ということになります。