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自己紹介3~実質的な倒産の最中にどうにかできたこと~

2021/11/12

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第1回 思い返せばあの時から
https://fukuoffice.co.jp/blog/category8/bio01

 

第2回 仕訳を知る前にやっていたこと

https://fukuoffice.co.jp/blog/category8/bio02

 

 


私は、税理士法人で約4年働いた後、独立する前に
ベンチャー企業の経理部に勤めていました。


経理部といっても、所属は自分ひとりで、
直属の上司は管理本部長で、その上は社長。


実務的なお金を動かす仕事や、
それに関連する資料の作成は、全部自分で行っていました。


ベンチャー企業というのは、うまく行けば利益がでますが、
うまく行かなったときは悲惨です。


私が勤めていた会社も、次第に資金繰りが悪くなり、
通常の経費が払えなくなり、
社員の給与も数ヶ月未払いとなり、
どこから知ったのか、サラ金のDMがしょっちゅう届くようになりました。


この先にあったことは想像がつくかと思いますが、
実質的な会社の閉鎖です。


諸事情で会社を正式に解散・清算することができず、
閉鎖ということになりました。


社員も、ある日突然倒産を知ったわけではなく、
給与の未払が始まったあたりから、各自転職活動を始めていました。


私自信は、そのときにはすでに税理士の資格を取得していたので、
副業で税理士活動を行っていました。


そんな中、自分にできることはなんだろう?と考えました。
経理部ですから、お金に関すること。
融資や増資は万策つきて、会社としてはもう厳しい。


せめて未払いの給与はどうにかならないものか。
(自分も給与をもらえないと困るし)


そこで見つけたのが「未払賃金立替払制度」でした。
法律上、事実上の倒産があった場合に、
未払いの従業員の給与について国が建て替えてくれる制度です。


自分の最後の大仕事はこれかな、と思い、
制度を調べて必要書類を整えました。


会社の財務や経理に関する書類は
すべて自分が見ることができる立場だったので、

必要書類を揃えたり、役所に状況説明をしたりすることは、
比較的スムーズにできました。


役所に何回か通って話をするうちに、担当者ともある程度顔なじみになったのですが、
ある時言われました。


「御社は書類がキッチリそろっているので、
 かなりスムーズに手続きが進んでいますよ」


どうやら、倒産する会社の多くは、話がわかる人がすでにおらず、
書類をそろえること自体がままならないようでした。


必要書類をそろえることに並行して、社長面談の対策も行いました。
対策というほどでもないのですが、
社長が役所に出向いて、状況説明をする必要がありました。


社長は、人間的に良い人で、
社員に給与を支払えていないことについて、申し訳なく思っていました。


そこで、この制度を使うことにもすぐに許可してくれましたし、
役所での面談対策についても協力してくれました。


なんだかんだで、実質的に閉鎖になるときには、
自分も含めて社員は未払い給与の立替を受けることができました。


ちなみに、未払期間は5ヶ月でした。
起業して無収入・給与が取れない時期の社長と同じことを
擬似的に体験する貴重な機会でした。